ちょっといい話

第26回

「子どもの権利条約」発効20年


今年は、わが国で「子どもの権利条約」が発効して満20年になります。

1989年11月20日、国際連合の44回総会で全会一致により採択されました。日本は1994年4月22日に世界で158番目に批准し、同年5月22日に発効しました。現在、世界の国・地域の数は195ですので、日本は、子どもの人権について実は後進国なのです。現に、子どもの貧困率では、世界でワースト10に入っています。

子どもの権利条約は、その前文で「(子どもは)幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中(家庭環境)で成長すべき」、「(社会において)平和、尊厳、寛容、自由及び連帯の精神の下で育てられるべき」と謳っています。

条約という固い法の定めに、「雰囲気」という用語が使われていることに法律実務家として大きなカルチャーショックを受けたことを今もよく覚えています。言葉はまだ理解できなくても、子どもは、自分を取り巻く環境にとても敏感なのです。雰囲気を敏感に感じるのです。親は、教師は、社会は、子どもを大事にしているつもりかもしれませんが、当の子どもたちが、「幸せだなぁ」「愛されているなぁ」「分かってもらえてるなぁ」と感じてこそ、大事にされていると言えるのです。

当時、我が子に対して、結果を求めて、「ダメ」「ダメ」と失敗をつい責めてしまっていた私は、「寛容(の精神)」にも大きなショックを受けました。「寛容」とは「失敗を許す」ということです。子どもは、失敗が許されて初めて、いろいろなことにチャレンジし、失敗を通して自分で考えるようになるのです。

第31条には、「休息、余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加」の権利が定められています。

子どもの権利条約は、「雰囲気」、「寛容」、「遊び」・・・、私に、子どもを大事にするという意味を教えてくれた宝のような存在です。

名古屋市は、子どもの権利を保障し、子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するまちの実現を目指して、2008年4月1日に「なごや子ども条例」を施行しました。「子どもは、生まれながらにして一人一人かけがえのない存在であり、周りの人に大切にされ、愛され、信頼されることによって、自分に自信を持ち、安心して健やかに育つことができます。」に始まり、子どもに関する基本的な施策とその総合的な推進についても定められている、分りやすく素晴らしい条例です。

素晴らしい「条約」があり、「条例」があるのに、現実の社会はというと、子どもがとても生きづらい社会です。

家庭で、学校で、職場で、地域で、政治の場で、満20年を迎えた「子どもの権利条約」を今一度しっかり学び合い、力を合わせて、条例を生かしていく取組みをしていかねばならないと思います。

ご相談お申込み 052-972-0091

前のページへ戻る

  • 最新5件:ちょっといい話

  • お問合せ

    ご相談はこちら
    お気軽にお問合せください、初回は相談無料です お問合せフォーム
  • バナーエリア

  • QRコード

    ケータイサイト

  • ページの先頭に戻る