ちょっといい話

第29回

「早めの」遺言書作成のすすめ


第15回に「遺言書作成のすすめ」がありますが、今回は「『早めの』遺言書作成のすすめ」と題してお話をします。

 

ある人が遺言書を書かずになくなった場合、各相続人の取り分は「法定相続分」により決まります。

例えば、配偶者と子のみが相続人の場合は、配偶者が2分の1、子が2分の1と定められています。子が3人いるときは、子1人の法定相続分は6分の1となります。

一見すると平等のように見えますが、実はこれが「争族」の原因となることがあります。

 

よくあるのは親が亡くなって、その子が相続をするケースです。既にもう一方の親は亡くなっており、これで両親とも亡くなったとします。子は、A、B、Cの3人兄弟で、長男Aが両親と同居してずっと面倒をみてきていたとします。遺言書はなかったとします。

この場合、A、B、Cはそれぞれ3分の1の割合の相続分を有することになりますが、長男Aが、自分はずっと両親の面倒をみてきたし、長男で跡取りなのだから、もっとたくさん相続していいはずだと思うことは少なくありません。

しかし、B、Cからは、それぞれ3分の1ずつ、合計3分の2の権利を主張されてしまうのです。

Aが両親の面倒をみてきたことを遺産分割の中に取り込むためのものとして「寄与分」というものがありますが、これが認められるためのハードルは低くありません

それぞれが3分の1ずつという結果は、Aからすれば不公平に見えてしまうでしょう。亡くなった両親の本意でもないかもしれません。しかし、このようなことはよく起こります。

 

このような結果を回避することができるのが遺言書です。

遺言書では、誰がどのくらいの割合の遺産を取得するか、誰がどの遺産を取得するかなどをあらかじめ決めておくことができます。

上記のような長男Aには多めに遺産を与えることとし、B、Cには残りの遺産を平等にわけてもらうという内容の遺言書を作成しておけば、「争族」になることを防げるかもしれません。

 

遺言書は、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言で作成すべきです。遺言書があっても、その遺言の有効性を巡って「争族」になることもあり得ます。公正証書で作成すれば、その可能性を減らすことができます。

 

ところが、最近では公正証書遺言でさえ、無効とされるケースが出てきています。どのような場合に無効になるかというと、遺言書を作成する人が認知症等になっており、作成当時に判断能力がなかった場合等です。遺言書があったとしても、作成した時期によっては、やはり「争族」になるケースが増えてきているのです。

 

「自分が亡くなって相続が発生するのはまだまだ先のこと・・・」と思われるかもしれませんが、いざ作ろうと思ったときには、既に判断能力が衰えつつあり、後々「争族」になることは避けられないということもあり得ます。

ですから、遺言書は早く作った方がよいのです。

内容を変えたいときには、もう一度作り直せばよいのです。

「争族」を防ぎたいのなら、早めに手を打つ必要があります。

 

当事務所では、公正証書遺言の作成に対応できるのはもちろんのこと、当事務所が遺言執行者になることで、遺言を作られた方の亡くなった後、遺言書の内容を適切に実現するお手伝いもしています

 

「争族」を避けるため、早めに遺言書を作成されてみてはいかがでしょうか。

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